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「ただのヤキモチだから」
コホン……と、小さく咳ひとつ
夏のキャンペーンで会った
二人の妖精さんを思い出し素直に伝える
『お互い、好きだったら別れない』
この言葉は
常に俺を
守ってくれるし
強くしてくれる
でも……頭の端っこに
課長の顔が浮かぶ
俺に捨てられると言ったんだよな?
「ごめんね……気を悪くしたよね……
でも、タクミに黙ってるのイヤだったから」
あぁ……
俺、どんどん小っさい男になっていく
外に出て
左に行けばスーパー
右に行けば家
「買い物ある?」
「遅くなっちゃうけど
今から作るんでもいい?
それともブタちゃんのお好みで
お惣菜でも買って帰る?」
「俺、手伝うからツルのご飯がいい」
クスッ……と笑い
「ヘルプ、よろしくね」
泥で満たされた沼に溺れかけたが
……千鶴の笑顔に救われる
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