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「じゃあ、婚姻という契約を結ばなくても違う形でサポートしてあげればよかったじゃないか。お前が本当に結婚したい相手ができたときどうするか考えなかったのかよ」
土田が心外そうな顔をして俺を見た。
「??」
「さっきの俺の話聞いてないの? 少なくとも今の日本で俺が結婚したい相手なんて出てこないから、俺にとって婚姻関係なんて何の価値もないんだよ」
「?」
「俺が結婚したいくらい好きな相手とは、この日本では結婚できないってことだよ。何度も言わせんな」
あれ土田、なんで赤くなってるの?
「ちなみに結婚したいくらい好きな男ってのは……お前のことな」
えええーー?
「お前、俺のことキライ?」
「い、や……キライじゃねーけど」
「じゃ、すき?」
好きじゃなくてすきって聞いてるよね。なんで俺そんなことわかっちゃうのかな。
それにそんなキラキラした瞳で問いかけられても困るんですけど。
「そういわれたら……すき……かな」
あれ、俺なに言っちゃってるんだろう。
まごうことなきノンケのはずなのに。
「そっ……か……」
そんなにうれしそうな顔をして。
イエローカードレベルの反則技だけど、その表情、ちょっと……くる。
「じゃあさ、キス、してもいい?」
何この展開……。
さっきまでくつろいでだ高級ホテルのリビングルームが、ラブホテルのベッドの上みたいな空気になってるんですけど。
「……ダメ?」
だからさっきから反則なんだって。
イエロー2枚で退場なの知ってるだろ。
お前退場……。
「キス……くらいならいいけど……ちょ……」
言い終わらないうちに噛み付いてくるなよ。
押し倒すなっ、舌を絡ませんなっ。
「ちょ……と、待て」
口を離したのはいいけど唾液の糸が引いてるから!
エロいから!!
「なに?」
「お前、キスで終わらせる気ないだろ」
「バレた?」
バレた? じゃねぇよ。喰われるかと思った……。
それでお前はなんでソファの下で正座してぽかんとしてるんだよ。
俺が待てって言ったからか?
「土田」
名前呼んだだけで、そんなはじかれた様に顔をあげんな。
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