揺れる心

4/24
前へ
/758ページ
次へ
「何でしょうか…?」 「お姉さん…。新人さん?見ない顔だよね?」 「…まだ入ったばかりですが」 「だよねだよね。よくこの店に来るけど見たことないから。かた、せちゃんなんだね」 胸に着けている名札を見ながら、私の名前を呼んだ。 「…すみませんが、用がないなら失礼します」 また去ろうとすると、ギュッと右手を握られた。 「片瀬ちゃんて可愛いねぇ」 右手を握りながらじりじり、ゆっくりと近付いて来る。 待って…。これ、ちょっとピンチ……。 私は手を振り解くことを忘れてしまっていて、後ずさりをしていた。 ドンッと鈍い音とともに、背中に衝撃が走る。 私の背中は棚についてしまい、これ以上後ろに下がれない。 男の顔が近付いて来る。 ──────!! 忌まわしい記憶が蘇ってくる。 「─お前そっち押えてろよ」 「─早く終わらせてくれよな」 「─じっくり楽しませてもらうぜ」
/758ページ

最初のコメントを投稿しよう!

283人が本棚に入れています
本棚に追加