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「いててて!!」
我に返ると、目の前で男が痛がっていた。
よく見ると高峰が男の腕を握り、捻っていた。
「お客様ここはそう言う店じゃないんで、これ以上は警察呼びますよ?」
ニコリと笑いながら、握っている手に力を込めた。
「痛っ!痛い痛い!!」
男は痛みに顔を歪めながら、力いっぱい高峰の手を振り払った。
じとりと高峰を睨むと、そのまま走ってこの場を去って行った。
私は力が抜けて、その場にへたり込んでしまった。
「美羽ちゃん!」
慌てて高峰が寄って来る。
「大丈夫!?」
「…大丈夫」
力なく答える。
「何もされてない!?」
「うん」
「よかったぁ…」
高峰が安堵の息を吐き、うなだれた。
「ビックリした…。でもホントに何もなくてよかった」
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