揺れる心

5/24
前へ
/758ページ
次へ
「いててて!!」 我に返ると、目の前で男が痛がっていた。 よく見ると高峰が男の腕を握り、捻っていた。 「お客様ここはそう言う店じゃないんで、これ以上は警察呼びますよ?」 ニコリと笑いながら、握っている手に力を込めた。 「痛っ!痛い痛い!!」 男は痛みに顔を歪めながら、力いっぱい高峰の手を振り払った。 じとりと高峰を睨むと、そのまま走ってこの場を去って行った。 私は力が抜けて、その場にへたり込んでしまった。 「美羽ちゃん!」 慌てて高峰が寄って来る。 「大丈夫!?」 「…大丈夫」 力なく答える。 「何もされてない!?」 「うん」 「よかったぁ…」 高峰が安堵の息を吐き、うなだれた。 「ビックリした…。でもホントに何もなくてよかった」
/758ページ

最初のコメントを投稿しよう!

283人が本棚に入れています
本棚に追加