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…思い出した。
前に中村が騒いでいたんだ。
「ハゲた親父に声を掛けられたら、君胸おっきいね~とか言われて~。ちょーキモかったのぉ」
とか、高峰達男の子達に言っていた。
その男のことはちらっとは見ていたけど、ちゃんと覚えていなかった。
そして中村の話だったからあんまり気にもしてなかった。
…まさかこんなことになるとは。
「たまたまさ。事務所の監視カメラ見たら、美羽ちゃんがおっさんに襲われてるとこだったからさ。マジ焦った」
「ありがとう。本当に助かった」
高峰が来てくれてなかったら…。
想像しただけで、背中に寒気が走った。
「…落ち着いた?とりあえずここから出よう」
高峰が私の手を取る。
「…美羽ちゃん、大丈夫……?震えてる…」
私の手は震えていた。高峰の言葉にハッとなって、握られていた手を払った。
「…大丈夫。もう、平気」
ひとりで立ち上がる。
「平気じゃないだろ?」
「大丈夫だって!」
つい大きな声を出してしまった。
「…本当に助けてくれてありがとう」
もう一度お礼だけ言って、18禁コーナーから出た。
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