揺れる心

6/24
前へ
/758ページ
次へ
…思い出した。 前に中村が騒いでいたんだ。 「ハゲた親父に声を掛けられたら、君胸おっきいね~とか言われて~。ちょーキモかったのぉ」 とか、高峰達男の子達に言っていた。 その男のことはちらっとは見ていたけど、ちゃんと覚えていなかった。 そして中村の話だったからあんまり気にもしてなかった。 …まさかこんなことになるとは。 「たまたまさ。事務所の監視カメラ見たら、美羽ちゃんがおっさんに襲われてるとこだったからさ。マジ焦った」 「ありがとう。本当に助かった」 高峰が来てくれてなかったら…。 想像しただけで、背中に寒気が走った。 「…落ち着いた?とりあえずここから出よう」 高峰が私の手を取る。 「…美羽ちゃん、大丈夫……?震えてる…」 私の手は震えていた。高峰の言葉にハッとなって、握られていた手を払った。 「…大丈夫。もう、平気」 ひとりで立ち上がる。 「平気じゃないだろ?」 「大丈夫だって!」 つい大きな声を出してしまった。 「…本当に助けてくれてありがとう」 もう一度お礼だけ言って、18禁コーナーから出た。
/758ページ

最初のコメントを投稿しよう!

283人が本棚に入れています
本棚に追加