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初見さんは勉強を再開して、教科書をめくっていく。
ただ私は初見さんの隣にいたいだけだったので、その場所でケータイを操作し出す。
─ズシッと、左肩に重みが伝わってきた。
何だろうと見てみると、初見さんの顔が私の肩にもたれていた。
…え?
一瞬頭の中が真っ白になる。
そして急激にドキドキと、心臓が鳴り出した。
「は、初見さん?」
小さく呼び掛けるが、返事はない。
そっと顔を覗き込んでみると、初見さんは寝ていた。
すぅすぅと、小さな寝息が聞こえる。
…何だ、寝ちゃったのか。
ホッと安心する。
毎日勉強してるだろうから、疲れてるんだろうなぁ。
そしてこの日なたのあったかさだもん。
気持ちよくなって眠くなっちゃうよね。
私は初見さんを動かさないように、手に持っている教科書を取る。
床に置いて初見さんを起こさないように、そのままの体勢でじっとする。
初見さんのサラサラした髪の毛から、シャンプーのいい匂いがした。
触りたくなる衝動を抑え込む。
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