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はぁ。
自分で自分のアホらしさに呆れてくる。
結局のところ、私はまだ前に進めずにいる。
情けない。
変わりたい、信じたいって思ってるくせに。
…これじゃあ信じてないのと一緒だ。
また大きなため息が出た。
…仕事しよ。
私は店長に頼まれた仕事をすることにした。
事務所の中に入り、パソコンの前に座る。
事務作業をしていると、店長が私に声を掛けて来た。
「片瀬さん。悪いんだけど、初見君の仕事を先に手伝ってやって欲しいんだ。いいかな?」
「初見」にドキッとするも、平静を装う。
「分かりました」
「悪いね、備品室にいてるから」
「はい」
私は立ち上がって備品室に向かう。
中に入ると、初見さんは脚立に登り、棚の上の物を見ていた。
「初見さん。店長から手伝ってやってって言われたので、手伝います」
初見さんを見上げて言う。
声に気付いた初見さんは、すぐに私の方を見た。
「ホントに?助かる」
そう言って微笑む。
柔らかい、私の好きな笑顔…。
すぐさま私の胸がときめく。
…最近の自分の心臓は、初見さんに関して本当に素直だ。
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