ひだまりの君

5/49
281人が本棚に入れています
本棚に追加
/758ページ
…自分の思いも、これくらい素直になれたらいいのに。 自分のことを蔑みながら、「何を手伝ったらいいですか?」と聞く。 初見さんは棚卸しのため、備品室の中の物の数を数えていたらしい。 なので私は下から数えていくことにした。 ふたりで黙々と作業をする。 やっと私の持ち場の数を数えれたので、初見さんに報告する。 「初見さん、終わりましたよ」 「ありがとう。俺も終わった」 そう言って脚立から降りて来た。 降りて来る初見さんの方を見ると。一番上の棚の段ボールの上に、一枚の紙が見えた。 「…初見さん。棚卸しの紙、一枚忘れてますよ」 私が指摘すると、 「あっ。一枚バインダーから外したんだった」 「じゃあ取って来ますね」 そう言って私が脚立を登る。 初見さんのおっちょこちょいな部分が見えた。 心の中で意外な一面が見れたと微笑む。 紙を取り、下に降りる。 そして残り2段のところで、気が緩んだのか。足を踏み外してしまった。 あっ。と思う間もなく、体が後ろに倒れていく。
/758ページ

最初のコメントを投稿しよう!