私に構わないで

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…嫌だって言ってるじゃん。 気付けば私の横には黒岩がいて。何故かビールを注いでいる。 すぐ酔うくせにピッチを上げて飲んでいた黒岩は、ものの30分でベロンベロンになってしまった。 前はウザイ程絡んできたかと思えば、今回はグチグチと文句をこぼしながら絡んでくる。 …黒岩の酔い方、めんどくさい。 「俺もさ、断りたかったんだよ?でも牧原に断られたって泣きそうな顔で言われたら、断れないじゃん」 「そこを断われよ」 「別に仕事一緒にするくらいはいいよ!でもあそこまでくっついてくるかよ~」 「いっそのこと付き合っちまえば?黒岩もフリーだろ?」 「アホか!俺には女神様がいるんです~。あ、片瀬ちゃんビール」 グラスを出してきたので、黙って注いでやる。 「片瀬ちゃん、ありがと~」 「いーえ」 私に話し掛けないで欲しいんだけど。酒臭いし。 「片瀬ちゃんは優しいよな~。可愛いし」 ずいっと顔を近付けて来た。 私はそっと顔を離す。お願いだから近付いて来るな。 「黒岩、お前酔い過ぎ。美羽ちゃん嫌がるだろ?」 苦笑しながら高峰が間に入る。 すると急に黒岩の顔がハッとなった。 「片瀬ちゃん!俺も美羽ちゃんて呼んでいー?」 はぁ?何であんたにまで馴れ馴れしく呼ばれなきゃなんないの!? 「呼んでいーい?」 間に入って来た高峰を無視して、また私に近付いて来る。 何なの…こいつ…。うっとしい過ぎる。 「…どうぞ」 …もう、好きにして。ヘタに関わりたくない。
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