プロローグ・カリアナ

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 どこの都でも、このような界隈は出来上がるものだ。  夜や闇は、この『ガジウールの壷』と低く囁かれる一角にとっては、本舞台である。  どこからともなく、欲望に駆られた男や女たちが訪れ、好みの華を選び、買い取った一夜を濃密に過ごす。  この一番奥まった部分が、最も高価な華の生かされる場所である。貴族、王族でさえも求めて訪れる、悦楽の牙城だった。  だからと言って。と、街の雑魚は胸を張る。ここの誰も彼もが金で言うなりになるわけじゃない、と。  雑魚が差すのは、ただ一人の稀有なる人間である。 『ガジウールの壷』に身を落としながら、夜の相手を選り好み、その美貌と才知をもって全てを想いのままに操る麗人。  名を、カリアナ。その姿を目にする者はあまりにも少ない。  だが噂は、高く響いてやまない。
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