レオンの日記

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1/8 王都の医者が来て、言った。 僕は記憶が1日しか保たなくなったらしい。理由は不明。治療法も不明。 僕はレオン、母親はクリスティーナ。僕は母さんと呼んでいた。 確かになにも思い出せないから、本当に僕はそうなんだろう。でも、そんなこと言われても正直よくわからない。 これは母親が買ってきて、僕に書くように勧めたみたいだ。誕生日を過ぎてから、時々忘れることが増えて、その日のことを書くといいよと言ったらしい。 僕はそれも覚えていない。 前のページに書いてあるのは、そういうわけなんだろう。あれはきっと、僕が書いたんだ。 名前も誕生日もわからないのに、どうして文字は書けるんだろう。言葉も話せる。わからないことだらけだ。 とにかく毎日日記を書かなくちゃ。 日付を必ず確認して、日記を書く。 そうしないと、どうにもならない。 これは常に持っていないといけない。 これは僕の、記憶だ。 _
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