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自分が普通に学校に通う日が来るなんて考えたこともなかった。
騒めく教室、教卓に仁王立ちした偉そうな教師が「静かにっ」と声を荒げる。
「今日からお前らと同じクラスになる水樹聖くんだ!」
自分の名前を呼ばれることに慣れてない俺は軽くビクついてしまう。
黒い制服の軍団は皆同じに見える。それぞれ意思を持った人間に見えない、一つの個体のようだ。
目の前がグラつく。
「って...!!はっ!オカマじゃん!!」
1人の男子が笑い混じりの声で言った。
息を呑む。
聞きなれた一言だ。俺は聞こえなかったふりをする。
「男だよな、見えねぇー」
「え、女の子だけど学ラン着てるんでしょう?」
「身体の線の細さが女の子だよ、俺わかる」
「いや、手を見てみろよ、ちょっと筋張ってて男っぽくね」
女だ、男だと言い合うクラスメートを見ないように俯いていたらいつの間にか教師は消えていて、俺は「はぁ!?」っと口にしてしまった。
なんでいなくなるんだよ、どこに座ったらいいかもわからないじゃないか...
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