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女「じゃあ私の自己紹介…しますか?」
俺「あ、あぁ、うん、そうしてもらえると助かります。」
しますか?
当然だろ?
初対面だぞ?
女「はい、じゃあまず名前から。 はなぶさ はな です。」
ん?
この子もしかして…?
いや、まさか…
俺「へー、綺麗な名前ですね。はなが二回も。覚えやすいですし。」
とりあえず当たり障りのないことを言っておく。
褒め過ぎず虐げ過ぎないよう
少し距離を置く言い方で。
女「多分いま考えてる漢字とは違う字ですけど…」
そう言われた俺は
黒いハンドバッグから
黒いメモ帳と白いボールペンを出した。
”花房 花”
”花房 華”
俺はこの2つを書いた。
俺「この字じゃ、ないんですか?」
女「よく間違えられるんです。漢字で書くとみんな読めないし…」
そう言うと彼女はメモ帳に
”英 英”
この二文字を書いた。
俺「…えっ?これで はなぶさ はな??」
女「はい。ね?読めないでしょ?」
彼女は諦めたような表情で
軽く笑った。
その笑顔はとても綺麗で
その薄灰の瞳に吸い込まれそうになった。
俺「確かに、これは読めないな…変わった苗字ですね。普通じゃない。あ、これは褒め言葉ですよ?そういうの好きです。」
女「ありがとうございます。私も気に入ってるんです。私だけの名前って感じがして。あっ、私のことは はな でいいですからね!」
彼女は明るい表情で微笑んだ。
俺「あ、うん。はなさ…
女「はな。さんはいりません。」
言葉を遮られ、少し強い口調の彼女に、
その気迫と勢に圧倒されそうになる。
俺「はい…。わかりました。じゃあ はな で。」
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