響音甘美

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英「はい、それでいいです。あ、あとタメ口で大丈夫です。私、年下なので。」 年下。 先程の言葉との矛盾に、 少し戸惑ってはいたが平然と聞き返した。 俺「あ、はい。…あぁ、年下って何歳なん…なの?」 英「えっと、16?ですかね?はい、16です!」 俺「(自分の年齢言うのに迷うか?普通)」 俺の表情を読み取ったのか 彼女が続ける。 英「ちょっと色々ありまして。難しいんですよね。はい。そうなんです。」 俺「(自己完結かよ。)へぇー?今は…学生さん?」 英「いえ、学校には通ってません。私には必要ないので。」 俺「へぇ。所でずっと気になってたんだけど、そのメッシュの髪って染めてるの?」 彼女の黒髪ぱっつんロングの左側に 一際の存在感を放つ一筋の白髪。 染めているならなかなかの手間だ。 黒髪を純白に染めるのは 実に骨が折れるから。 英「あー…これですか。これは地毛ですよ。何年か前から、ここだけ色のない髪に…。」 彼女は白髪の毛束を摘み上げ 毛束に視線を落としそう言った。 俺「綺麗な白だね。黒髪によく映える。黒や白は好きな色だよ。どっちもはっきりしてて。」 むしろ俺は黒と白や、 その混色から派生した色以外が 好きではないのだけど。 英「ホントですか?よかったです。あんまり印象良くないかなって思ってたんで染めようかと思ってました。」 彼女は少し幼さの残る 端正に整った綺麗な顔で 無邪気に笑った。 英「私の自己紹介はこれくらいでいいですか?次は貴方の番です。」 俺「あ…俺?…うん。そうだな…」
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