プロローグ

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 花が咲いて、散って。  葉が茂って、散って。  実が実って、落ちて。  雪が降って、溶けて。  そして、また花が咲く。  もう何百回見てきたことだろう。  時計の針も、日の光も、流れる水も  しっかりと時を刻んでいるのに、私の身体は一向に進む気配が無い。  不死ではないのだから、そろそろ死んでいい筈であるにもかかわらず、  肺は変わらず息を吸っている。  自殺を謀ってみたこともあったが、すべて失敗。  ただ、だらだらと生き続ける。  「いつまでこうしていればいいのか……」  見上げた満月は、冷たく輝いていた」                              ―-清澄の日記
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