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3月10日。
「すいません。私、4月から別のプロジェクトに行くことになってしまいました」
そうか。
このプロジェクトはそこに繋ぐための一時的な繋ぎだったわけだ。
「正直、本番稼動を岡さんと迎えたかったです」
「へえ、どこのプロジェクトに行くんですか?」
「そうですか、六本木ですか」
「それは良かったですね。やりたいことも出来ますね」
「あの…岡さん、怒ってます?」
「そんなわけないでしょう。ある程度のことはやってもらいましたから。充分です。」
いや、明らかに怒ってるな、俺。
別にプロジェクトの変更なんて、一個人がどうにか出来るもんじゃない。
こいつを怒るのも筋違いというものだ。
「岡さん、このプロジェクト終わったら博多に戻るって言ってましたよね。是非、呼んでくださいね」
「もちろん。すぐ呼びますよ」
白々しい会話になってきた。
そもそも、本番稼動直前にやってきて、本番稼動直直前にいなくなるなんてあり得ないだろう。
どんな判断してるんだ、ウチの上層部は。
別にそこまで重要な要員ではないけどな。
とにかく、今後も馬車馬のように働かせてやる。
そしてたまに俺の飲みに付き合ってくれればいい。
なんせ単身赴任で寂しいからな。
そして、最後にはこう言ってやろう。
「また、次のプロジェクトで」
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