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……でも、1度だけ聴いたことがある、呉さんと名倉さんの会話。
それは大学2年の、もうすぐ20歳の誕生日を迎える……そんな時のことだった。
その日も、家に帰ると名倉さんが来ていた。
この時はまだ、名倉さんのことが苦手だとか、そんなことは思っていなかった。
お姉さんのような存在。
そういう表現がぴったりだった。
もうすぐ誕生日だったよね、と名倉さんが私にケーキを持って来てくれたのだ。
音さんとお祖母ちゃんが亡くなってから名倉さんは、毎年私の誕生日が近くなると必ず、ケーキを持って来てくれていた。
毎年恒例のことだったから、私は何の疑問も持たずに、喜んでケーキを受け取っていたのだ。
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