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どうしよう、感じの悪いことしてしまった。
罪悪感に苛まれる。
でも、今さら顔を上げるのもなんだか決まりが悪い。
私は呉さんの方を極力見ないようにしながら、お茶を用意しようと台所へ向かおうとした。
そうすると、どうしても部屋の入り口に立つ呉さんの横を通らなければならないわけで。
お腹に力を入れ、目を合わせないように顔を下げて呉さんの横を通り抜けようとした、その瞬間だった。
「美音」
「っ……」
別に腕を掴まれたり、行き先を塞がれたりしたわけじゃない。
ただ、名前を呼ばれただけ。
でも、それだけなのに、私の身体は金縛りにあったかのように動かなくなってしまった。
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