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呉さんは小説に煮詰まると急に私に触れたがるようになるけど、本気で忙しくなると部屋に閉じこもって出て来なくなる。
……夕飯の時は、結構無理やり連れ出してたんだけど。
子どもっぽいから口とか態度には出さないけど、それでもホントは結構寂しかった。
呉さんと会話を交わせないのが。
呉さんに触ってもらえないのが。
その日が過ぎれば、呉さんはまた小説の打ち合わせや締切に追われるようになる。
だから、その日だけでも。
「(呉さんと一緒にいたい……けど)」
そんなこと言ったら迷惑かな、とか。
子どもっぽい自分を恥じらう気持ちと。
もし「ダメ」とかって言われたらどうしよう、という。
意気地無しな自分が。
私の中で拮抗し合う。
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