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「あ……のね?なんかすごい、子どもっぽいお願いなんだけど……」
なんとなく呉さんの顔を見れなくて、俯いて意味もなく、履いているスカートの編み目を数えた。
「うん」
「わ、私の誕生日の前日。呉さん、珍しく予定空いてるでしょ?」
「あぁ……そうだな」
呉さんはカレンダーに目をやりながら、そのまま答えた。
自分の顔が熱くなるのを感じる。
「だからね?その……その日1日、呉さんと一緒にいたいな……って」
「え」
「え……」
勇気を振り絞って、そう告げたのに。
呉さんが素っ頓狂な声を上げるから。
「(……やっぱり、言わなきゃ良かったかも……)」
恥ずかしさと後悔が一気に襲い掛かって来る。
どうしよう、何て言い訳しようか。
せめて迷惑がられてないといいけど、どうだろうか。
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