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「い、いいの……?」 あんまりにもあっさり承諾されたので、驚いて聞き返すと、呉さんは私の耳を触りながらまた微笑む。 「当たり前だろ?むしろ、高いものでも買わされんのかと思ってハラハラしたわ。 その代わり、条件がある」 「……条件?」 呉さんは人差し指を立てて、私の顔の前に突き出してきた。 「その日の予定は、全部俺に任せて。じゃないと面白くないし、俺の面目が立たない」 「そ、そんなの……」 「もちろんいいよ」と言うと、呉さんは「じゃ、決定」と笑った。 「じゃあその日の夜、ちゃんと空けとけよ?」 そう言うと、呉さんは腕を解いて私を解放する。 そしてコーヒーの入ったマグカップを手に、自室へと戻って行った。 「……」 その背中を見て、その体温が恋しくなったのは秘密だ。
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