-1-

9/11
前へ
/602ページ
次へ
「(……それにしても)」 温かいな、この生き物。 ヒトってこんなに体温、高かったっけ? 基本的に体温が低い俺にとって、この温かさは何か心地よい。 ふと、母さんが美音の頬をつついていたのを思い出した。 まあるく膨らんだ薄紅色に染まるそれは、何だろう、触りたいと思わせる何かがある。 人差し指で、なるべく爪を立てないように優しくつついてみると。 「う、わ…」 思わず、声が出てしまった。 柔らかい、本当に。 しかもつるつるとしていて、手触りもいい。 よく「お餅みたいだ」とか言ってるのを聞くけど、それともまた少し違うような。 対比するように俺の頬も触ってみたけど、ホントだ。 うっすらカサついてるし、そもそも柔らかくない。 ちょっとしたショックを受けながら視線を逸らすと、俺の服を掴んでる美音の手が目に入った。 「(…まだ掴んでたんだ)」 ちょっと感心しながらも、寝る位置が変わった所為で腕がのび切った状態になっている。
/602ページ

最初のコメントを投稿しよう!

203人が本棚に入れています
本棚に追加