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「時に呉さん」
「なんでしょう」
多分、耳が赤くなってること、呉さんにバレてる。
気恥ずかしくなって咄嗟に変な聞き方をしてしまった私を、面白そうに笑って見てるから。
「め、珍しく普通の格好をして、どこに行くのでしょう」
「フフフ、どこでしょう」
財布をジーンズの後ろのポケットに、スマホをジャケットの胸ポケットに入れて。
車のキーを手に取る姿は、普段なかなか見ない姿だからか、妙にカッコよく見える。
「今日の夜の予定は俺に任せてくれるんでしょ?」
そう言って、車のキーがついているリングを人差し指にかけて、呉さんはいたずらっ子のように笑って見せた。
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