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――食べ終わった皿が下げられて、代わりに運ばれてきたコーヒーに口を付けていると。
「お待たせしました、ご注文のパフェになります」
「え?」
頼んでもいないのに、急に奥さんが大きなパフェを手にやってきた。
それを私の目の前に置くと、奥さんは「ハッピーバースデー」と微笑んで、またすぐにカウンターへと戻って行く。
「え、と……」
困惑したままパフェ越しに呉さんを見ると、呉さんは頬杖をついたままニカッと笑った。
そうしてジャケットのポケットから薄い長方形の箱を取り出す。
「バースデープレゼント。ちょっと早いけど、誕生日おめでとう美音」
「……いいの?」
パフェと小さな包みを前に、自然と笑みが零れる。
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