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――私と呉さんが住む家は、普通の住宅街にある。
主にこの地に昔から住んできたであろう人たちの住宅と何戸かのアパートがあって、その他に小さな公園が1つ、住宅街の真ん中に位置する。
夕飯からの帰り、その公園に行きたいと言い出したのは私だった。
なんとなくブランコに乗りたくなって、そう呉さんに言ってみたら、じゃあ行くか!ということになって。
飲んでもいないのにお酒に酔ったようなテンションで、家に着いてからすぐに歩いて公園に向かったのだ。
「……6月ももう終わるけど、夜は結構寒いね」
「そうだな……」
日中に感じることの無い、夜特有の澄んだ空気を吸い込んで、ゆっくり吐き出した。
4つ並んでいるブランコのうち2つに、呉さんと並んで腰掛ける。
そっと漕ぎ始めると、何故か童心のようなものが戻って来て、何故か嬉しくなる。
「ブランコなんて、久々だなぁ」
楽しそうにブランコを漕ぐ呉さんの様子を横目に窺うと、綺麗な横顔が目に入る。
透き通るような白い肌が夜の闇に映えて、息を飲むほど美しい。
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