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驚いた。
林くんとは大学3年後期のゼミからの付き合いで、比較的よく知っている人だと思っていたけど、一人暮らしじゃなかったんだ……。
「別に隠してたわけじゃないんだけどさ。で、今はバイト帰りなわけ」
「へ、へぇ……」
ニカッと歯を見せて笑う林くん。
そして、グッと私の方へ顔を寄せて来た。
「ところで、飯島はここら辺に住んでんの?」
「あ、うん」
「じゃあどこら辺なの?」
「え、えっと……」
興味津々といった様子で、目を輝かせている林くん。
「(え、なんでそんなこと)」
林くんに教えなきゃないの。
それが、正直な私の感想だった。
正直林くんに教える義理はないけど、うまく断る方法が思いつかない。
うー、何て言って誤魔化そう?
ヘラヘラ笑って誤魔化していた、その時。
「美音、もう帰るぞ」
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