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「く、呉さん……?」
どうしてそんなに悲しそうなの。
そう聞こうとしたけれど、その言葉は呉さんが「美音」と私の名前を呼んだことで遮られる。
「……どうしたの?」
名前を呼ぶその声に、急に感情が感じられなくなって、ドキリと心臓が波打つ。
「……」
「……」
「……あの、さ」
しばらく間を置いた後、呉さんは口を開いた。
「……美音は俺のこと、どう思ってる?」
「え……」
想像もしていなかった質問に、一瞬頭が真っ白になった。
「どう思ってるって、どういうこと……?」
もう質問の意図を考えることが出来なくて、私があまりに素直な質問をすると、呉さんは「それは……」と言葉に詰まった。
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