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「じゃ、じゃあ、どういうこと?」
その鋭い視線から逃げようと顔を、今度は反対側に逸らすと、「逸らすなよ」と静かだけど威圧のある声が私の動きを止める。
「同級生か、友達か。もしくは……恋人、か。この中で、どれ?」
「ッ……」
冷たくて、でもどこか艶っぽい声が耳元で囁かれ、背筋がゾクリと粟立つ。
思わず目をギュッと力一杯瞑ってしまった。
「……どれ?」
再度重ねて聞かれた言葉。
従わざるを得ないようなその声に、私は恐る恐る口を開いた。
「……同級、生」
どれだけ林くんを頭に思い描いても、それしか出てこなかった。
友達と言うほど、仲がすごくいいわけでもない。
恋人と言うほど、彼に心を許しているわけでもない。
それを聞いた呉さんは、「……そう」と呟くように言うと、ゆっくり身体を起こした。
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