-6-

16/19
前へ
/602ページ
次へ
「く、呉さんは……」 「……うん」 静まり返った湖面に雫を落とす様に、私は言葉を発した。 「っ、か……」 家族だよ、と。 そう言うつもりだった。 そう言えば丸く収まったはずだった。 なのに。 「っ、私……っ、呉さんのこと、家族だって思えない……!」 「……、え」 呉さんが小さく目を見開いて、驚いているのがわかる。 私だって、自分何言ってるんだろうって、驚いてる。 でも、なんでかわからないけど、止まらなかった。 「呉さんは……っ、音さんの弟で、私の叔父さんで、家族なのに!私っ、呉さんを叔父さんだって、家族だって思うことが出来ない……!」 悲しいのか、ただ感情が昂ぶっているだけなのか。 目頭が熱くなり、涙が出て来ているのがわかった。
/602ページ

最初のコメントを投稿しよう!

203人が本棚に入れています
本棚に追加