203人が本棚に入れています
本棚に追加
「く、呉さんは……」
「……うん」
静まり返った湖面に雫を落とす様に、私は言葉を発した。
「っ、か……」
家族だよ、と。
そう言うつもりだった。
そう言えば丸く収まったはずだった。
なのに。
「っ、私……っ、呉さんのこと、家族だって思えない……!」
「……、え」
呉さんが小さく目を見開いて、驚いているのがわかる。
私だって、自分何言ってるんだろうって、驚いてる。
でも、なんでかわからないけど、止まらなかった。
「呉さんは……っ、音さんの弟で、私の叔父さんで、家族なのに!私っ、呉さんを叔父さんだって、家族だって思うことが出来ない……!」
悲しいのか、ただ感情が昂ぶっているだけなのか。
目頭が熱くなり、涙が出て来ているのがわかった。
最初のコメントを投稿しよう!