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――あのキスから1日が経った。 私と呉さんの関係と言えば、ぎこちないことこの上なく。 というより、顔を合わせていないので、呉さんがどんな様子でいるかわからない……というのが本当のところ。 呉さんはあの日からまた作家業に本腰を入れていて、部屋から出て来ているのをあまり見ていない。 たまに足音がしたり、電話で話している声が聞こえるから、生きてはいるんだろうけども。 私は呉さんを避けるように生活しているし、それは呉さんもしかり、といった状態なのだ。 でも。 会わずとも、私の頭を埋め尽くすのは呉さんのことだけであって。 玄関に行くだけであの日のことがありありと思い出せてしまう。 唇の熱、感触、息遣い……。 ねぇ、呉さん。 あのキスは……一体何だったの? どういう意味を、持っているの……?
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