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――そんな悩みを抱えつつ過ごす日々が、何日か経った頃。 「(……気まずい)」 すこぶる、気まずい。 俯いて、取りあえず自分の脚を眺めた。 あ、こんなとこに剃り残し……なんてことはどうだっていいことだ。 チラ、と視線だけ正面に向ければ、快活な笑顔を見せる名倉さんが私が出した麦茶に口を付けようとしている。 その視線をさらに横に向けるとそこには、名倉さん同様麦茶に口を付けようとする呉さんがいた。 「(久々に……)」 呉さんのこと見たな、なんて。 ただ姿を見れただけで、胸がキュウと音を立てて甘く締め付けられる。 気まずさとか、恥ずかしさとかを棚に上げてそんなことを思っている私は、相当重症だろう。 「(……それにしたって)」 気まずい。
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