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――いつだったろう。 でもお祖母ちゃんが亡くなってからだったから、多分中学2年か3年か……高校に入ってからだと思う。 呉さんはパソコンに向かって原稿を書いていて、私は課題か何かをしていた気がする。 その時ふと、「今日の晩ご飯、何?」みたいな感じで聞かれたこと。 『……美音。お前さぁ、自分の母さんのこと知りたいって、思う?』 『そーだねぇ……って、え』 サラッと言われたその言葉を、一瞬スルーしそうになったけど。 頭の中で反芻して、よく考えてから呉さんを見ると、呉さんはパソコンから目を逸らしていなかった。 『えっと、今、何て?』 あんまりにもあっさり聞かれたものだから、もう一度よく聞きたくて、そう聞き返せば、「だから、母親に会ってみたい?」と今度は視線付きで言葉が返って来た。
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