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「あ」 ドアを開けた名倉さんが、驚いたような声を上げる。 忘れ物でもしたんだろうか……? 「どうかしました?」 私と同様にその声を不審に思ったのか、呉さんが名倉さんに声をかける。 「あ、えっと……」 ドアの向こう側に向けられていた名倉さんの視線が、戸惑ったようにこちらへ向けられる。 玄関の外に何かあるんだろうか。 もしかして、虫……とか? 恐る恐る隣に立つ呉さんを見上げると、呉さんも何かを感じたらしく、サンダルを履いて外へ出ようとした時。 「こんにちは」 清々しいソプラノボイスが聞こえ、その声と共にすらっとした女性が顔を出す。 サラサラと風になびくストレートヘアーは綺麗なブラウン。 色白で、どこか日本人離れした雰囲気を持つ、なんというかまぁ、絵に描いたような美人だ。
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