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「――それは違います!」
詩織さんの発言を真っ先に否定したのは、名倉さんだった。
思わず名倉さんの方を見てしまう。
「……っ、あ」
名倉さんも反射的にそう言ってしまったようで、青ざめた顔をしている。
「あ……すみません、私、勝手に……」
「……大丈夫ですよ、名倉さん」
口元を手で押さえて小刻みに震えている名倉さんを庇うように、呉さんが詩織さんと相対する。
「詩織……どういうことだ?」
「あら、聞いてないの?」
厳しい表情を崩さない呉さんとは対照的に、驚いたような表情を見せる詩織さん。
「連絡行ってたと思ってたんだけど……」とブツブツ呟いた後、「まぁいいわ」と再びニッコリと微笑んだ。
「そうね、言葉が足りなかったわ。私、これから美音ちゃんの母親になるの」
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