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「お、おい、“お見合い”って……どういうことなんだ!?」 呉さんが焦ったように詩織さんに詰め寄る。 「そのままよ。“結婚しましょう”ってこと」 「は!?」 呉さんの驚きが手に取るようにわかる。 そりゃそうだ、私だって驚いている。 呉さんに、お見合い話があった……の? 「父さんから連絡行ってないの?」 「何も来てねーよ……てか、来るわけね―し」 その瞬間、呉さんが急に嫌悪感を滲ませる。 詩織さんもそれを察したようで、静かに視線を逸らしたのち、「そうね……」と呟いた。 同時に、「でもね」とまた綺麗な笑顔を作ってみせた。 「貴方もいい歳でしょう?紫呉」 「……」
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