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「――……なぁ、美音」
2人の体温が溶けあって来た頃。
しばらく手を繋いだままソファで寄り添っていた私たち。
その沈黙を、呉さんが破った。
「……何?」
軽く頭を呉さんの方に傾けると、呉さんはぼんやりと、でも真っ直ぐ前を見ていた。
「あの、さ……美音」
「ん?」
言いにくそうに口ごもった後、呉さんは困ったように眉尻を下げて私の顔を見た。
「美音はさ、俺が……結婚してもいいと思う?」
「……え」
呉さんの口から出て来た言葉に、私の思考は一瞬停止した。
ケッコン……?
血痕……?
結婚……?
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