-8-

10/14
前へ
/602ページ
次へ
「――……なぁ、美音」 2人の体温が溶けあって来た頃。 しばらく手を繋いだままソファで寄り添っていた私たち。 その沈黙を、呉さんが破った。 「……何?」 軽く頭を呉さんの方に傾けると、呉さんはぼんやりと、でも真っ直ぐ前を見ていた。 「あの、さ……美音」 「ん?」 言いにくそうに口ごもった後、呉さんは困ったように眉尻を下げて私の顔を見た。 「美音はさ、俺が……結婚してもいいと思う?」 「……え」 呉さんの口から出て来た言葉に、私の思考は一瞬停止した。 ケッコン……? 血痕……? 結婚……?
/602ページ

最初のコメントを投稿しよう!

203人が本棚に入れています
本棚に追加