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「何をそんなに悩んでいるの」 「……」 ゆるゆると麦茶から、淡々とした声が聞こえた方へと視線を映した。 が、恐らく声を発したであろう張本人は、何も言ってないといった顔つきでテレビを見ている。 気の所為だったかも、と視線を再び麦茶に戻せば。 「小説のことでなんか、悩んでないんでしょ」 「っ」 ため息と共に聞こえて来たその言葉に今度は過剰なほどに反応してしまい、思い切り顔を上げてしまった。 母さんは視線だけこちらへ寄越し、未だに身体はテレビのほうを向いている。 その目は、「何かあるなら早く言え」と、催促しているように見えた。
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