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「……まだ、信じられないんだ」 力なく視線を麦茶に戻し、口を開いた。 小さな茶色の湖面に映る俺の顔に、これといった感情は見られない。 「何が」 興味のなさそうな母さんの声。 興味津々、といった様子で聞かれるよりは、なんとなく有難かった。 「……時々、今でも『美音は兄さんの子どもなんだろうか』って、疑念でいっぱいになるんだ。もう5年も一緒にいたのにそんなことを考えるのは野暮だって、わかってはいるんだけど……」 「……」 「兄さんに女の影…美音の母親の影がないこともあるし、美音が父親である兄さんに似てないっていうのもある。理由なんて考えれば考えるほど挙げられるんだけど……」 「……」
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