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# # # 今思えば、やっぱり何かおかしかったように思う。 「紫呉、俺と美音とで出掛けよう!」 「……はぁ!?」 それは突然だった。 桜の木に青々とした葉が目立ち始め、外に出て動き回れば汗ばむくらい暖かくなった頃。 性質的にも職業的にも、基本引きこもりな俺は、そんな季節になっても外には出ず、家の自室にこもってパソコンに向かっていた。 以前より狭くなった自室も、座ったままで物が取れるということがわかり、最近は嫌じゃない。 というのも、美音が小学校に上がってから美音にも部屋が必要だということになり。 元々1階にあった俺の部屋を美音が使い、俺は2階にある書斎という名の物置に移された。 ……ま、ベッドと本棚と机と椅子さえ置ければどこでもいんだけどさ。
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