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そんな時聞こえた、窓に小さな硬いものが当たる音。 虫でもぶつかったか、と思い、ほっといたら。 嫌がらせかのように何度もその音が聞こえて、これは虫ではないとやっと認識した俺が窓の外を見ると。 『……』 『やっほー』 最近やっと夜は家に帰るという習慣を身に付けた兄さんが、満面の笑みで手を振っていた。 ……あからさまに嫌そうな顔をする俺を無視して。 「ちょっと居間に来てくれないか」といわれ、渋々居間に行くと、美音と兄さんが並んで、嫌にウキウキした様子でソファに座っていた。 そうして言ったのである。 『紫呉、俺と美音とで出掛けよう!』……と。
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