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「なぁ!紫呉もそう思うだろ?ラッコより美音のほうが可愛いと思うだろう!?」 「は!?」 突然何俺に話振ってんの!? 魂も抜けかけて呆然としている俺を振り返って、人の良さそうな笑顔を浮かべる兄さんに、引きつった笑いしか返せない。 周りに人が沢山いるっていうのに期待いっぱいという目で見られて、恥ずかしさで消えてしまいたいほどだ。 ちら、と美音に視線を送れば、こちらもさすがに恥ずかしいのか頬を赤らめている。 けど同時に、俺に期待の目も向けているような気がして。 「(一体何なんだ、これは……)そ、そうだな。美音は可愛いと思うよ」 口の端がヒクヒクと痙攣するのを感じながら、俺はこの場を収めた。
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