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見てるだけだけど、と平然と言ってのけた兄さんに、俺は我慢できず声を荒げた。 「両手で頬杖つくなよ!…ってか、頭に付けてるリボン何なんだよ!?」 「あぁ、可愛いだろう?」 「はぁ!?」 そこには、拳を2つくっ付けて口元を隠す様に頬杖をつき、ボサボサとのび切った前髪を大きな赤いリボンのついたゴムでしばっている兄さんがいた。 俺の気持ちを知ってか、否、知らないだろう。 だからそんなことが平然とできるに違いない。 怒りやら呆れやらが混じったため息をつく俺を、兄さんはいつもの人当たりのいい笑顔で見つめてくる。 「やめてくれよ……40超えたおっさんがそういうことするの……」 力なく俺がそう言うと、「あぁ、こういうのはお前の方が似合うもんなぁ」と訳のわからないことを言ってきた。 もう……誰か助けて……。
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