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# # # 「……あ」 寝ないで書き上げた小説のデータを前に、思わず声を上げてしまった。 朝は雲1つないくらい、良かった天気。 昼を過ぎた頃からどんよりと黒い雲がかかり始め、しまいにはポツリと窓に水滴が付き始めた。 その数は次第に増えていき、ついに音を立てて雨が降り出した。 雨は止むことなく、時間を追うごとにむしろ強くなっていっているように感じる。 妙な脱力感に襲われ、ただ考えることも無くボーッと窓から外の様子を眺めていると。 「紫呉ー?今手ぇ空いてるー?」 1階から母さんが俺を呼ぶ声が聞こえ、急いで意識を現実へ呼び戻した。 「あー、まぁ空いてるけどー……何?」 一旦パソコンの電源を落とし1階に降りると、母さんが車のキーを手に電話の受話器を耳に当てていた。
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