-4-

5/18
前へ
/602ページ
次へ
明らかな様子の変化に、ドクリ、と心臓が嫌な音を立てた。 母さんの顔色がどんどん蒼白くなっていくのが、手に取るようにわかる。 「どうした?母さん?」 母さんの肩を掴んで顔を覗き込もうとすると、ビクッと、母さんの肩が大きく跳ねた。 明らかに様子がおかしい。 そして思いがけない言葉が、母さんの口から飛び出した。 「……が、死んだって……」 「……は?」 死んだって…誰が? 親戚? それとももっと近い人物なのか? まさか…美音じゃないよ、な? 雨でスリップした車に跳ねられて……なんて、そんなこと、ないよな? 「はい、はい……」と生返事を繰り返す母さんを見つめることしか出来ず、もどかしさで苛々が募る。
/602ページ

最初のコメントを投稿しよう!

203人が本棚に入れています
本棚に追加