-4-

6/18
前へ
/602ページ
次へ
「何だって!?」 力なく受話器を置いた母さんに、飛び掛かるように迫る。 母さんは虚ろな目で俺の顔を一瞥した後、俺から視線を外して小さく笑った。 「……紫音が、死んだって……」 母さんが何を言っているのか、わからなかった。 いや、違う。 何を言っているのか、わかりたくなかった。 その後、俺はどう行動したのか、はっきり覚えていない。 今、目の前に美音が座ってるから、多分ちゃんと美音を迎えに行ったんだな、とは思う。 そして美音に父親の――兄さんの死を、どう告げたのかわからない。 だって、未だに信じられなかったから。 兄さんが、死んだ? 馬鹿なことを言うな。 エイプリルフールはとっくに終わったんだ。 嘘だ、嘘だ、嘘だ――……。
/602ページ

最初のコメントを投稿しよう!

203人が本棚に入れています
本棚に追加