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# # # 兄さんの死は事故だった、と兄さんの遺体と共にやって来た兄さんの同僚だと名乗る、名倉さんが静かに告げた。 母さんと俺、そして美音が並んで座るその真正面に、座卓を挟んで正座する名倉さん。 彼女は何年も兄さんと一緒に仕事をしてきたライターらしく、今回も一緒だったのだと言っていた。 取材からの帰り道、追い越しをしようと対向車線からはみ出してきた車と正面衝突したのだという。 運転席に突っ込み、運転していた兄さんが被害を一身に受けた、ということのようだった。 「……大変、申し訳ありませんでした……」 頭に包帯を巻き、頬に大きなガーゼを張り付けた名倉さんは、血の気の無い顔で頭を下げた。 「……私がもっと注意していれば……いえ、私が運転をしていれば……」 「そ、そんなことは……」 まるで自分が代わりになれば良かったようなことを言い出す名倉さんに、俺は慌てて胸の前で手を振った。
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