-4-

10/18
前へ
/602ページ
次へ
「美音ちゃんも、本当にごめんなさい。あなたの、お父さんを……」 「いえ、大丈夫です。大体、そんなことを言われても、もう仕方のないことですし」 母さんの時と同様に頭を下げながら言った名倉さんの言葉を、美音は強い口調で遮った。 名倉さんが驚いたように目を少し見開く。 俺も驚いて、思わず「美音」と名前を呼んでしまった。 俺たちの様子を見てまずいと思ったのか、美音は唇をきゅっと結んで、肩より少し長いくらいに伸びた髪の毛で顔を隠すように俯く。 「……きっと、こういう運命だったんでしょう」 苦しそうな声を絞り出し、美音は力なくそう呟いた。 「そ、そうですよね……。本当にごめんなさい……」 名倉さんは誤魔化すように苦笑いを浮かべながら、気まずそうに目にかかった前髪をかき上げた。
/602ページ

最初のコメントを投稿しよう!

203人が本棚に入れています
本棚に追加