-4-

11/18
前へ
/602ページ
次へ
お茶のおかわりを出しますね、と、母さんが席を外すと、私も宿題があると言って、美音も自分の部屋に戻ってしまった。 兄さんが亡くなったと告げられたのは昨日。 そして今日は学校を休んだというのに……。 本当はないであろう宿題をしに部屋に戻った美音の気持ちを考えると、何か切ないものがある。 「……もう、中学生になったんだね……」 「え?」 美音が出て行った方を見つめながら言った名倉さんの言葉に、思わず反応してしまう。 「あっ、いえ」 俺が怪訝そうな顔でもしていたのか、名倉さんは焦ったように胸の前で手を左右に振った。 「すみません、馴れ馴れしい感じで……」 「あ、いえ……」 照れたのか、頬を少し朱に染めて、名倉さんはペコペコと頭を下げる。
/602ページ

最初のコメントを投稿しよう!

203人が本棚に入れています
本棚に追加