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# # # 「――は?」 俺は目の前にいる男の顔を凝視した。 「いや、だからね。この子、俺の子どもなんだよ」 腕に本当に幼い子どもを抱いた男は、眼鏡の奥の垂れ目を細めた。 頭の上にはつい先日から降り出した雪が積もっている。 子ども――いやきっとまだ1歳にもなってないだろう――は触り心地の良さそうな厚い布にくるまれてスヤスヤと眠っている。 ……俺の気持ちなんて露知らず、といった様子で。
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