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でも、違う。 俺が感じた違和感は、そういうことじゃない。 俺が違和感を感じたのは、名倉さんの表情とか声の感じとかだ。 スッと目を細め、懐かしそうに美音の背中を見つめていた名倉さんの様子は。 『……もう、中学生になったんだね……』と言った時の声音は。 明らかに、美音を小さい時から知っていた。 そういった様子だった。 もしかしたら兄さんが美音の写真でも見せたのかもしれない。 俺が知らない時に、そして美音もそのことを覚えていないような頃に、美音と名倉さんは会っていたのかもしれない。 でも、俺は。 「(まさか……とは思うけど)」 まさかとは思うけど、名倉さんは美音の母親なのではないかという疑いを、捨て切れずにいた。
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